七夕(たなばた)は、毎年7月7日に訪れる日本の美しい伝統行事です。
この日は、織姫と彦星が天の川を越えて一年に一度だけ再会するというロマンチックな伝説に彩られています。
日本各地では、笹に短冊を飾り、素麺を楽しむなど、さまざまな風習が根付いています。
本記事では、七夕の歴史や由来をひも解きながら、特別な一日を過ごすためのおすすめの方法をご紹介します。
笹と短冊に込める願い事や、夏の風物詩としての素麺の楽しみ方など、七夕を存分に楽しむためのアイデアをお届けします。
【七夕】何をする?おすすめの過ごし方は?
七夕は、織姫と彦星が天の川で再会する日として知られています。
さて、七夕には何をすればいいのでしょうか。
する事は?
クリスマスのようにカップルで過ごす日というイメージもあまりありませんよね。
そこで、家族やカップルで楽しめる七夕の過ごし方を5つご紹介します。
短冊にお願い事を書く
七夕といえば、まず思い浮かぶのが短冊に願い事を書くことです。
江戸時代頃から始まったとされるこの風習では、願い事を書いた短冊を笹に飾ります。
短冊の色にはそれぞれ意味があります。
赤の短冊(火の色):礼
感謝。決断するときや目上の人や身内への感謝の気持ちを伝えるための色です。
(例文)
大人向け: 両親が健康でありますように・両親を旅行に連れていく。
子供向け: パパ、ママありがとう・パパとママ仲良しでいてね
黒(紫)の短冊(水の色):智
学業や知識の向上を目指すことを願います。
(例文)
大人向け: 資格を取得するぞ・英語を話せるようになる・通勤時間に勉強するぞ!
子供向け: 100点を取る・サッカー上達・ピアノ上達・本を100冊読む
青の短冊(木の色):仁
人間性を磨き、成長し、徳を積むこと。人に対する思いやりを持つこと。
(例文)
大人向け: 正直であること・他者に親切にすること・誰も傷つけない言葉を使うこと。
子供向け: 嫌いな食べ物を克服すること・家事を手伝うこと・兄弟姉妹と仲良く過ごすこと
白の短冊(金の色):義
義務や規則を守り、私欲にとらわれず正義を行うことを願います。
(例文)
大人向け: 人に譲る心を持つこと・困っている人を見かけたら助ける・時間を守ること。
子供向け: 学校に遅れずに通うこと・宿題をきちんと提出すること。
黄の短冊(土の色):信
信頼、人間関係。友人や知り合いを大切にすることを願います。
他人を信頼し、大切に思う気持ち。良い人間関係を築き、約束を守り、正直であること。
(例文)
大人向け: 友人との約束は必ず守るぞ・周囲と協調性を持つぞ。
子供向け: 友達をいっぱい作る・みんなで仲良くする。
※諸説あります
子どもの頃は好きな色を選んで願い事を書いていたかもしれませんが、大人になると短冊の色の意味を考えて選ぶのも楽しいですね。
短冊に願い事を書くことは、七夕のメイン行事と言っても過言ではありません。
五色の短冊の意味と願い事
七夕の歌の「♪五色(ごしき)の短冊(たんざく)わたしがかいた」というフレーズの「五色」とは、「青、赤、黄、白、黒(紫)」を指します。
これは、中国の春秋戦国時代に生まれた「五行思想」に基づいています。
五行思想は、自然界のすべてを木、火、土、金、水の五つの要素に分類し、それぞれを色で表現します。
青は木、赤は火、黄は土、白は金、黒は水を意味します。
ただし、日本では、青は緑に、黒は高貴な紫に変えられることが多いです。
七夕飾りで五色の短冊を使用することは、魔除けの効果があるとされていました。
また、五行思想は「五徳(仁、礼、信、義、智)」とも関連しており、短冊の色ごとに異なる意味を持たせて願い事をするようになりました。
もともとは裁縫や詩歌の上達を願うためのものでしたが、現在では多様な技能に対して願い事をすることが一般的になっています。
色ごとに異なる技能の習得を願うのも良いでしょう。
笹に短冊と飾りをつける
短冊を書いたら、笹に飾りつけましょう。
短冊と笹は七夕の定番セットです。
自宅用の造花の笹は、ホームセンターやAmazonなどで購入できます。
一度購入すれば、クリスマスツリーのように毎年使えますよ。
また、笹と一緒に購入したいのは笹スタンドです。
ベランダに笹を固定できる場合は不要ですが、室内で楽しむには土台があると便利です。
短冊だけでなく、吹流しや千羽鶴などの七夕飾りをたくさんつけて、華やかにしましょう。
飾りそれぞれに意味が込められています。
なぜ笹に飾るのか?
七夕飾りを笹に飾る理由は明確ではありませんが、笹は冬でも青々とした生命力の強い植物で、古くから邪気を払うと信じられてきました。
また、虫除け効果もあり、稲作の際には笹を使って虫除けをしていました。
天に向かってまっすぐ伸びる笹は、願い事を天の織姫や彦星に届けてくれると考えられていました。
七夕飾りの種類とその意味
紙衣(神衣)(かみこ)
折り紙で作った人形や着物で、神様の着物「神御衣(かみこ)」を模しています。
裁縫の上達や衣服に困らないよう願うだけでなく、厄除けや子どもの健やかな成長を願う意味も持ちます。
巾着
昔はお金を入れていた巾着は、貯蓄や金運上昇を願う飾りです。
商売繁盛を願う人に適しています。
金運を高めたい場合は、黄色や白色の色紙を使うと良いでしょう。
投網(網飾り)
漁師の網を模した飾りで、豊作や大漁を祈願します。
また、幸運を引き寄せる意味もあります。
屑籠(くずかご)
七夕飾りを作る際に出る紙くずを集めるための飾りで、整理整頓の習慣を育て、物を大切にする気持ちを養います。
吹き流し
織姫の織糸を模した飾りで、手芸や機織りの技術向上を願います。
また、鯉のぼりにも使われる吹き流しは、魔除けの意味も持ちます。
千羽鶴(折り鶴)
「長寿」「長命」の象徴である鶴は、家内安全や長寿を願うために飾られます。
また、鶴は一度結ばれると一生涯パートナーを変えないことから、「円満な夫婦関係」の象徴とされています。
ちょうちん
日本の祭りや法事で頻繁に見かける提灯には、「正しい道へ導く」や「悪いものを退ける」といった意味があります。
短冊
願い事が叶い、字が上手になるように
意味を理解しながら飾ると、一層楽しめます。
最近は七夕飾りのセットも販売されているので、まとめて揃えるのも簡単です。
素麺を食べる
イベントにはそれぞれの定番の食事がありますが、七夕の日には何を食べるか知っていますか?
答えは「素麺」です。
素麺を食べる理由には諸説ありますが、例えば、悪霊退治のお供え物や、織姫が使う糸を模したものなどが挙げられます。
7月7日に亡くなった子どもの霊を鎮めるために、好物だった「索餅(さくべい)」を供えたところ、霊が退散したという中国の逸話もあります。
この索餅が素麺に変わったとも言われています。
七夕にそうめんを食べる理由には、索餅を起源とする説以外にも、そうめんを天の川に見立てた説や、裁縫に用いる糸に見立てた説(織姫に関連)があります。
日本の7月7日は暑い時期なので、冷たい素麺はぴったりですね。
そうめんは手軽に作れる上、夏が旬のオクラやトマトを添えると、見た目も華やかで栄養バランスも良くなります。
特にオクラは夏バテ防止や免疫力アップに効果的です。
また、縁起物として七色の素麺も販売されており、家族で素麺パーティーを楽しむのも素敵なアイデアです。
そうめんの他に次のような食べ物があります。
索餅(さくべい)
索餅(さくべい)は、平安時代の貴族が七夕に食べていたと言われる揚げ菓子で、中国から伝わった唐菓子の一種です。
これがそうめんの起源とも言われています。
「索」とは中国語で縄や綱を意味し、「餅」は小麦粉と米粉を混ぜたものです。
索餅はその縄のような形から「麦縄(むぎなわ)」とも呼ばれています。
中国の伝承によれば、7月7日に亡くなった皇帝の子供が疫病を広めたため、子供の好物であった索餅をお供えしたところ、疫病が収まったとされています。
それ以来、無病息災を祈って七夕に索餅を食べる風習が生まれたと言われ、後に「さくべい」が「さくめん」そして「そうめん」へと変わっていったと伝えられています。
ちらし寿司
ちらし寿司は伝統的な七夕の行事食ではありませんが、色鮮やかに盛り付けられるため、七夕の食事にぴったりです。
小さなお子様がいる家庭では特に喜ばれるでしょう。
また、学校の給食で人気の七夕ゼリーも、家庭で簡単に作ることができます。
お祭りに行ってみる
日本各地で開催される七夕祭りに足を運んでみましょう。
夏祭りや花火大会と比べて、七夕祭りは行ったことがない人も多いかもしれませんが、家族や恋人と訪れることで、夏の始まりを感じることができます。
有名な七夕祭りには以下のようなものがあります。
仙台七夕まつり(宮城)
能代七夕(秋田)
下町七夕まつり(東京)
阿佐谷七夕まつり(東京)
湘南ひらつか七夕まつり(神奈川)
狭山市入間川七夕まつり(埼玉)
茂原七夕まつり(千葉)
安城七夕まつり(愛知)
戸出七夕まつり(富山)
京の七夕(京都)
しかし、2020年以降は新型コロナウイルスの影響で、中止や形式を変えての開催が多くなっています。
事前に開催状況を確認し、安全対策をしっかりとした上で楽しみましょう。
また、七夕祭りは7月開催と8月開催のものがあります。
これは、旧暦の7月7日が現在の8月20日頃にあたるためです。
7月初旬は梅雨の季節でもあり、8月に開催される七夕祭りも多く残っています。
イベントに行ってみる
遊園地やレジャー施設でも、七夕をテーマにしたイベントが毎年開催されています。
特に「東京ディズニーリゾート」の七夕イベントは有名です。
開催期間が短い分、訪れる価値が増します。
七夕イベントが開催されやすい場所には以下のようなものがあります。
公園
駅前広場
大型施設
プラネタリウム
天の川にちなんだプラネタリウムのイベントも増えており、大人になってから訪れるとその美しさに感動することでしょう。
しかし、七夕祭り同様に2022年も新型コロナウイルスの影響で、多くのイベントが中止される可能性があります。
事前に開催状況を確認し、感染防止対策を徹底した上で楽しみましょう。
七夕の歴史と由来
七夕は「たなばた」または「しちせき」と読まれ、日本の古くからの伝統行事であり、五節句の一つとしても知られています。
毎年7月7日の夜に、色とりどりの短冊や飾りを笹の葉に吊るし、星に願い事をする習慣が続いています。
五節句とは、奈良時代に中国から伝来した季節の変わり目を示す5つの日のことです。
この日は無病息災や豊作を祈り、厄払いを行い、神様に季節の供え物をする風習がありました。
当初は多くの節句がありましたが、江戸時代に特に重要な5つの日が「五節句」として定められました。
これらの節句は次の通りです:
- 人日の節句(七草の節句) (1月7日)
- 上巳の節句(桃の節句) (3月3日)
- 端午の節句(菖蒲の節句) (5月5日)
- 七夕の節句(笹竹の節句) (7月7日)
- 重陽の節句(菊の節句) (9月9日)
五節句はすべて奇数の日に設定されています。これは奇数を陽、偶数を陰とする陰陽五行説に基づいており、奇数が重なると陰となるため、邪気を払う意味で設定されたと言われています。
七夕の起源
七夕の起源は以下の3つが合わさって生まれたとされています。
- 日本の神事「棚機(たなばた)」
- 織姫と彦星の伝説
- 奈良時代に中国から伝わった行事「乞巧奠(きこうでん)」
棚機(たなばた)とは?
棚機は古代日本の禊ぎの儀式で、乙女が着物を織り棚に供え、神様を迎えて秋の豊作を祈り、人々の穢れを払う行事でした。
選ばれた乙女は「棚機女(たなばたつめ)」と呼ばれ、清らかな川辺の機屋にこもり、神様のために心を込めて着物を織りました。
この際に使われた織り機が「棚機」(たなばた)です。
仏教が伝来すると、この行事はお盆の準備として7月7日の夜に行われるようになり、「七夕」という当て字で「たなばた」と読まれるようになりました。
織姫と彦星の伝説
琴座のベガ(織女(しゅくじょ)星)は裁縫、鷲(わし)座のアルタイル(牽牛(けんぎゅう)星)は農業を司る星とされ、旧暦の7月7日に天の川を挟んで最も輝くことから、一年に一度だけ会える日として中国で伝説が生まれました。
乞巧奠(きこうでん)とは?
乞巧奠は中国の行事で、7月7日に織女星にあやかり、裁縫や機織りの技術向上を願う風習です。
庭の祭壇に針などを供えて星に祈りを捧げ、次第に芸事や書道の上達も願うようになりました。
日本に伝わった七夕の行事
平安時代、七夕は宮中行事
平安時代には、七夕は宮中行事として定着しました。
宮中の人々は桃や梨、なす、うり、大豆、干し鯛、アワビなどを供え、星を見上げながら香を焚き、音楽や詩歌を楽しみました。
また、サトイモの葉に溜まった夜露を「天の川のしずく」と見立て、それで墨を溶かし、梶の葉に和歌を書いて願い事をしていました。
梶の木は古くから神聖なものとされ、多くの儀式で用いられてきました。
江戸時代に庶民の行事へ
江戸時代になると、七夕は五節句の一つとして庶民にも広まり、全国的に行われるようになりました。
人々は野菜や果物を供え、詩歌や習い事の上達を願いました。
梶の葉の代わりに五色の短冊に願い事を書き、笹竹に吊るして星に祈る習慣が生まれました。
【七夕】何をする?おすすめの過ごし方まとめ
- 短冊に願い事を書く
- 笹に短冊と飾りをつける
- 素麺を食べる
- お祭りに行く
- イベントに参加する
七夕は季節の行事としては知られていても、実際に何かをする人は少ないかもしれません。
しかし、短冊に願い事を書いたり、笹に飾りをつけたり、素麺を食べることで「今年も七夕が来た」と感じることができます。
この機会に家族や恋人と一緒に楽しんで、初夏の訪れを感じてみてはいかがでしょうか。
最後までご覧いただきありがとうございました。