食品やお菓子、サプリメントなどのパッケージで、「高温多湿を避けて常温で保存してください」という表示を見かけることがあります。
ところが、「常温は何度まで?」「夏の室内でも大丈夫?」「冷蔵庫へ入れたほうが安心なの?」と迷ってしまいますよね。
この表示は、単に冷蔵庫へ入れなくてよいという意味ではありません。
直射日光や熱、湿気、急な温度変化を避けることが大切です。
開封後に保存方法が変わる商品もあります。
この記事では、「高温多湿を避けて常温で保存」の意味、温度の目安、家の中で適した場所、夏や梅雨の注意点をわかりやすく解説します。
「高温多湿を避けて常温で保存」とはどういう意味?
「高温多湿を避けて常温で保存」とは、一般に、冷蔵や冷凍を必要としない商品を、直射日光や著しい高温、湿気の多い環境を避けて保管するという意味です。
ただし、すべての商品に同じ温度条件が当てはまるわけではありません。
最初にパッケージの保存方法を確認し、個別の温度指定がある場合は、その表示を優先しましょう。
冷蔵せず、直射日光・熱・湿気を避けるという意味
常温保存の商品は、未開封で表示どおりに保管することを前提に、冷蔵庫や冷凍庫へ入れずに保存できます。
ただし、家の中ならどこでもよいわけではありません。
次のような場所は避けるのが基本です。
- 直射日光が当たる窓際
- コンロやオーブンの近く
- 暖房器具の温風が当たる場所
- 炊飯器や電気ポットの蒸気が届く場所
- 夏に高温になる車内や屋外の物置
たとえば、窓際の棚は朝には涼しくても、午後になると日差しや窓から伝わる熱で温まることがあります。
保存場所を決めるときは、置いた瞬間の室温だけでなく、日中や調理中に環境が変わらないかも確認してください。
「常温保存」と「冷暗所保存」の違い
「常温保存」と「冷暗所保存」は似ていますが、表示の意図は同じとは限りません。
消費者庁の食品ロス削減ガイドブックでは、食品の「冷暗所」は、おおよそ直射日光が当たらず、高温多湿を避けた場所と説明されています。
一方、常温は冷蔵・冷凍ではない温度帯での保存を示しますが、具体的な条件は商品によって異なります。
冷暗所の候補には、日の当たらない戸棚やパントリーがあります。
ただし、暗いだけでは十分ではありません。
シンク下や床下収納は、住宅や季節によって湿気がこもる場合があります。
「暗い場所だから安心」と決めず、熱や水分、結露の影響も確かめましょう。
最初に商品の保存表示を確認しよう
保存場所を決める前に、パッケージや外箱の表示を確認してください。
特に見るべきポイントは次の3つです。
- 「要冷蔵」「冷所」「○℃以下」などの指定がないか
- 開封前と開封後で保存方法が変わらないか
- 保存上の注意が別の面や説明書に書かれていないか
食品の賞味期限と消費期限は、原則として、未開封の状態で表示された保存方法を守った場合の期限です。
開封後は、期限にかかわらず早めに使い切る必要があります。
「開封前は常温、開封後は要冷蔵」という商品も珍しくありません。
表示が読みにくいときは、メーカーの公式サイトも確認しましょう。
常温・高温・多湿は何度から?
「常温は何度までなのか」「高温や多湿はどこからなのか」と、数字で判断したい方も多いでしょう。
しかし、食品、医薬品、化粧品では用語の扱いが異なります。
一つの数値をすべての商品へ当てはめず、目安と個別表示を分けて考えることが重要です。
食品の常温は15~25℃がひとつの目安
消費者庁の食品ロス削減ガイドブックでは、食品の常温は、おおよそ15~25℃と考えるとよいと案内されています。
ただし、これはすべての食品に共通する合否の境界線ではなく、保存場所を考えるための目安です。
25℃を少し超えただけで、直ちに食べられなくなるという意味でもありません。
一方で、真夏の閉め切った部屋、直射日光が当たる棚、車内などでは、想定以上に温度が上がる可能性があります。
商品に具体的な保存温度が書かれている場合や、メーカーが適温を案内している場合は、そちらを優先してください。
高温と多湿に共通の明確な定義はない
「高温多湿」という表示には、あらゆる商品に共通する「何℃以上、湿度何%以上」という一律の基準があるわけではありません。
原材料、包装、製造方法、想定する保存期間などによって、品質へ影響する条件が異なるためです。
家庭では、次のような状態を避けるとよいでしょう。
- 蒸し暑さが長時間続く
- 棚や容器を触ると温かい
- 湯気や水滴が発生しやすい
- 収納内部に湿っぽさや結露がある
- 季節や時間帯で温度差が大きい
数値だけでなく、保存場所の環境全体を見ることも大切です。
温度が指定されている場合は商品の表示を優先する
パッケージに「25℃以下」「30℃以下」「要冷蔵10℃以下」などと書かれている場合は、その数値を優先します。
同じ常温保存の商品でも、チョコレート、レトルト食品、乾物、サプリメントでは、熱や湿気による変化が同じではありません。
なお、医薬品で使われる温度用語は、食品の一般的な目安と混同しないようにしましょう。
日本薬局方などの医薬品分野では、常温を15~25℃、室温を1~30℃とする温度用語が使われています。
ただし、実際の薬の保管では、薬袋、添付文書、医師や薬剤師の指示が最優先です。
高温多湿を避けて保存できる場所はどこ?
保存場所は、直射日光が当たらず、熱源や水回りから離れ、温度変化が比較的小さい場所を選びます。
一般的には戸棚やパントリーが候補になりますが、同じ棚でも位置によって環境が異なります。
戸棚やパントリーなど比較的適した場所
常温保存に比較的向いているのは、次のような場所です。
- リビングの日陰にある収納棚
- コンロから離れたキッチンの戸棚
- 直射日光が入らないパントリー
- 温度変化の少ない廊下の収納
ただし、窓に近い棚、天井付近の吊り戸棚、家電の放熱を受ける場所は、時間帯によって温度が上がる場合があります。
まずは晴れた日の午後や、調理中の状態を確認してみましょう。
食品は期限が見える向きに並べ、古いものを手前へ置くと管理しやすくなります。
キッチンで保存するときのチェックポイント
キッチンは使いやすい反面、熱、蒸気、水分が発生しやすい場所です。
コンロ、オーブン、炊飯器、電気ポット、食器洗い乾燥機などの近くは、使用時の温度や湿度を確認してください。
シンク下は、配管の結露、水漏れ、におい、湿気の影響を受けることがあります。
粉類や乾物を置く場合は、商品の表示を確認したうえで、口をしっかり閉じるか密閉容器を利用すると管理しやすくなります。
家電の上も、機種や設置環境によって熱の影響を受けるため、事前に確かめましょう。
保存場所を選ぶ4つの条件
迷ったときは、次の4つを確認してください。
- 直射日光が当たらない
- 熱を発する家電や器具から離れている
- 水回りから離れ、湿気や結露の心配が少ない
- 一日の温度変化が大きくない
すべてを完璧に満たさなくても、表示に反しない範囲で、より条件のよい場所を選びましょう。
キッチンに適した場所がなければ、リビングや廊下の扉付き収納を利用する方法もあります。
小さな子どもやペットがいる家庭では、誤飲やいたずらを防げる高さや、扉の閉まる場所を選びましょう。
高温多湿になりやすい避けたい保存場所
見た目が暗く涼しそうでも、実際には熱や湿気がこもっている場所があります。
保存場所は、普段の印象だけでなく、季節や時間帯による変化も含めて判断しましょう。
窓際・コンロ・家電の近く
窓際は、直射日光や窓ガラスから伝わる熱の影響を受けやすい場所です。
カーテンを閉めていても、棚の内部が温まる場合があります。
コンロ、オーブン、炊飯器、電気ポット、暖房器具の近くも、使用中だけ温度や湿度が上がることがあります。
調理後や暖房使用中にも確認してください。
商品を置く前に棚の内側や天板へ触れ、熱を感じるなら別の場所を検討しましょう。
シンク下・洗面所など湿気が多い場所
シンク下、洗面所、脱衣所は、水分や湯気の影響を受けやすい場所です。
特に入浴後の洗面所や、配管の結露が起こる収納では、湿度が高くなることがあります。
収納する場合は、容器や袋を閉じ、水滴、湿っぽさ、カビなどがないか確認してください。
ただし、乾燥剤や密閉容器を使えば、どのような環境でも保存できるわけではありません。
商品の表示に合わない場所なら、別の収納へ移すことを優先しましょう。
車内・物置・暖房器具の近く
車内は外気温以上に高温になることがあり、常温保存の商品を長時間置く場所には向きません。
屋外の物置やベランダ収納も、夏の暑さと冬の冷え込みにより、温度差が大きくなりやすい場所です。
冬はストーブやヒーターの近く、温風が直接当たる棚にも注意してください。
食品だけでなく、薬や化粧品も車内へ置きっぱなしにしないようにしましょう。
買い物後は長時間放置せず、表示に合った場所へ早めに移しましょう。
夏は冷蔵庫に入れる?季節ごとの保存方法
暑い季節には、「念のため冷蔵庫へ入れれば安心」と考えがちです。
しかし、常温保存の商品を冷蔵することが適切かどうかは、商品によって異なります。
表示やメーカーの案内を確認して判断しましょう。
真夏に室温が高くなる場合の判断方法
真夏に部屋が長時間高温になる場合は、まず具体的な上限温度や冷蔵の可否を確認します。
冷房を使用する部屋の戸棚など、家の中で比較的温度変化が少ない場所へ移す方法もあります。
ただし、「常温」と書かれている商品を何でも冷蔵庫へ移せばよいとは限りません。
低温や出し入れによる温度変化で、食感や状態に影響が出る商品もあります。
保存方法がわからないときや、高温の場所へ長時間置いたときは、メーカーへ状況を伝えて確認しましょう。
梅雨は密閉と湿気対策を意識する
梅雨は気温だけでなく、湿気への対策が重要です。
乾物、粉末食品、お菓子などは、袋の口を確実に閉じ、商品に合えば密閉容器を利用しましょう。
開封日を容器へ書いておくと、長期間放置するのを防ぎやすくなります。
戸棚を開けたときに湿っぽさを感じたり、容器に水滴が付いたりしている場合は、保存場所を見直してください。
乾燥剤などを使う場合は、商品の注意表示も確認しましょう。
冷蔵保存による結露や品質変化にも注意する
冷蔵庫へ入れた商品を室温へ戻すと、温度差によって容器や包装に結露が生じることがあります。
商品によっては、湿気により粉末が固まったり、菓子の食感が変わったりする可能性があります。
化粧品については、日本化粧品工業会が、冷蔵庫からの出し入れによる温度変化や、クリーム・乳液などの分離の可能性を理由に、通常は常温での保管を案内しています。
もちろん、メーカーが冷蔵を指定している商品は、その指示に従ってください。
食品・薬・化粧品で保存方法はどう違う?
同じ表示でも、食品、薬、化粧品では優先する情報が異なります。
別の商品で覚えた方法を、そのまま当てはめないようにしましょう。
食品は開封前と開封後の表示を確認する
食品は、開封前なら常温保存できても、開封後は冷蔵が必要になる場合があります。
調味料、飲料、瓶詰、レトルト食品などは、開封後の保存方法と、使い切るまでの目安を確認してください。
消費者庁によると、賞味期限と消費期限は、いずれも定められた方法で保存した未開封品に対する期限です。
開封した食品は、表示された期限だけを頼りにせず、早めに消費しましょう。
なお、食中毒の原因となる細菌は、見た目やにおいだけでは判断できないことがあります。
保存方法に不安がある場合は、無理に食べず、メーカーなどへ確認してください。
薬は薬袋・添付文書・薬剤師の指示を優先する
薬は種類によって保管条件が異なるため、薬袋、容器、添付文書、医師や薬剤師の指示を優先します。
PMDAも、一般には直射日光や湿気を避けて涼しい場所へ保管し、特別な指示がある場合はそれに従うよう案内しています。
冷所保存が必要な薬もあれば、凍結を避けなければならない薬もあります。
「薬は全部冷蔵庫」「室温保存ならどこでもよい」と考えるのは避けましょう。
保管方法がわからない場合は、処方を受けた薬局や薬剤師へ確認してください。
化粧品やサプリメントはメーカー情報を確認する
化粧品は、直射日光、高温多湿、激しい温度変化を避けて常温で保管するのが基本です。
日本化粧品工業会は、窓際、車内、暖房器具の近く、浴室乾燥機を使用するバスルームなどを、高温になりやすい場所として挙げています。
分離、変色、普段と違うにおいなどがある場合は、使用を控えましょう。
サプリメントは食品として販売されるものが多いものの、成分や剤形、包装によって保存方法が異なります。
容器や外箱の表示を確認し、必要に応じてメーカーの公式情報を調べてください。
高温多湿を避けて常温で保存するポイントまとめ
「高温多湿を避けて常温で保存」とは、冷蔵庫へ入れないことだけを示す表現ではありません。
直射日光、熱、湿気、急な温度変化を避け、商品の表示に合った場所で保管することが大切です。
迷ったときに確認する5つのチェック項目
保存場所に迷ったら、次の順番で確認しましょう。
- 「要冷蔵」「冷所」「○℃以下」などの指定がないか
- 開封前と開封後で保存方法が変わらないか
- 直射日光や家電の熱を受けないか
- 水回りから離れ、湿気や結露の心配が少ないか
- メーカーが個別の保存方法を案内していないか
一般的な目安よりも、商品に書かれた保存方法が優先です。
表示に従い、自宅の中で条件に合う場所を選んでください。
異臭・変色・膨張などがある場合は使用しない
容器の膨張、液漏れ、カビ、分離、変色、普段と違うにおいなど、明らかな異常がある商品は、食べたり使用したりしないでください。
ただし、異常が見当たらないことだけで、安全だと断定することもできません。
特に食品を不適切な温度で長時間保管した可能性がある場合や、医薬品の品質に不安がある場合は、自己判断で使わず、メーカーや薬剤師などへ確認しましょう。
判断できないときはメーカーへ問い合わせる
商品の保存条件は、原材料、製法、包装、容器によって異なります。
一般的な情報だけでは判断できないときは、パッケージの問い合わせ先やメーカーの公式サイトを利用してください。
問い合わせる際は、次の情報を伝えましょう。
- 商品名と種類
- 未開封か開封済みか
- 保存していた場所
- おおよその温度と時間
- 見た目やにおいなどの変化
高温多湿を避けて常温で保存する基本は、表示を確認し、日光、熱源、水回りから離れた、温度変化の少ない場所を選ぶことです。
迷ったときは冷蔵庫へ入れるかどうかを自己判断せず、商品の公式情報を確認しましょう。