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西宮神社「十日えびす」って知ってる?新年の風物詩・全力疾走の開門神事とは?

新年を迎えると、日本中で様々な伝統行事が行われます。
初詣、書き初め、鏡開き…。
いろんな場所でお正月らしい行事が行われますよね。
その中でも、兵庫県の西宮神社で行われる「十日えびす」という行事を知っていますか?
毎年1月9日、10日、11日の3日間で開催されるこのお祭りには、なんと約100万人もの人が訪れるんだって!すごい人数ですよね。
特に、1月10日早朝に行われる「開門神事」は、多くの人々の注目を集めています。

いったい、どんなお祭りなのでしょうか?なぜこんなにも人気があるのでしょうか?そして、「福男」って何なのでしょうか?
それには、この神社に祀られている「えびす神」という神様の物語が関係しているんです。

えびす神の由来と西宮神社の誕生

えびす神のお話

まず、えびす神について少し説明しますね。
えびす神は、昔々の日本の神話に出てくる神様なんです。
「古事記」という日本最古の歴史書には、えびす神は最初、蛭子神(ひるこがみ)という名前で登場します。

面白いことに、この神様は生まれたときに海に捨てられてしまったんです。でも、神様だからか、ちゃんと生き延びて、後にえびす神として人々に信仰されるようになりました。

えびす神は、魚をたくさん獲れるようにしてくれたり、商売がうまくいくように助けてくれたりする神様として知られています。

西宮神社ができたわけ

さて、そんなえびす神がどうして西宮神社に祀られることになったのか、知りたくなりませんか?
実は、これにも面白い伝説があるんです。

昔々、和田岬という場所の沖で、ある漁師さんが神様の像を拾ったんだって。
その夜、その漁師さんの夢の中に神様が現れて、「私は蛭子神だ。西の宮という場所に祀ってほしい」と頼んだそうです。
これがきっかけで、西宮神社ができたんだとか。

この話、ちょっとミステリアスでワクワクしませんか?
神様が夢に出てくるなんて、今の時代では想像しにくいかもしれないけど、昔の人にとっては、とても大切な出来事だったんでしょうね。

日本中に広がったえびす神信仰

西宮神社ができてから何百年も経った平安時代の終わりごろ、この神社は日本全国のえびす神を信仰する人たちの中心的な存在になっていきました。
言わば、えびす神様信仰の「本家」みたいな感じですね。
全国に約3,500社あるえびす神社の総本社です。

こうして、西宮神社は多くの人々が参拝に訪れる場所になっていったんです。
特に、毎年1月に行われる「十日えびす」は、その中でも一番大きなお祭りになりました。

「十日えびす」とは何か

「十日えびす」とは何か

「十日えびす」は、毎年1月9日から11日までの3日間行われる祭典で、商売繁盛や家内安全、福を願う人たちが参拝します。

西宮神社の「十日えびす」は、関西地方で最も規模の大きな祭りの一つとして知られ、なんと、3日間で100万人以上もの人が集まるんだって!すごい人数ですよね。

商売がうまくいきますように、家族が健康で安全に過ごせますように、幸せになれますように、といった願い事をするんです。

この神社で祀られているえびす神は、豊漁をもたらす海の守り護として崇められています。
えびすさまの像を見ると、左手に大きな鯛を抱えていて、右手に釣竿を持っているのが特徴です。

地元の人たちは、この神社のことを親しみを込めて「西宮のえべっさん」って呼んでいます。
「えべっさん」っていうのは、「えびすさま」をもっと親しみやすく言った感じですね。

「十日えびす」のハイライト、開門神事

西宮えびす神社 表大門(赤門)

「十日えびす」の中でも、特に注目を集めているのが「開門神事(かいもんしんじ)」という行事です。
これは、1月10日の早朝6時に行われるんだけど、ものすごい迫力があるんですよ。

まず、朝6時ピッタリに神社の表大門(赤門)が開きます。
すると、たくさんの人たちが一斉に「うおーっ!」と大声を上げながら、神社の中を走り抜けていくんです。
ゴールは230メートル先にある本殿。

でも、ただ走ればいいってわけじゃないんです。
途中には鳥居があったり、急カーブがあったりして、結構難しいコースになっています。
表大門をスタート後、70メートルほど先の注連(しめなわ)鳥居を経由して、途中のひとつの鳥居を抜けます。拝殿の前は急カーブを描くので、倒れずに安全走りきるのは、なかなかむずかしいのです。
転ばないように走るのは、本当に大変そうです。

細かいルールがたくさん!

この開門神事、見た目は単純そうに見えるかもしれません。
でも、実は細かいルールがたくさんあるんです。
これは、参加する人たちの安全を守るためなんですね。

まず、一番前で走れる人は108人だけ。
この人たちは、くじ引きで選ばれます。
公平にするためですね。

それから、場所取りやテント設営は禁止。
これは、みんなが平等に参加できるようにするためだと思います。

履き物にも決まりがあって、転びやすい靴は禁止。
ひもでしっかり足に固定できるスポーツシューズを履くことになっています。

女の子も参加できるんだけど、スカートは禁止です。
走りやすい服装じゃないとね。

福男になるとどうなる?

さて、この開門神事で1位から3位になった男の人は「福男」と呼ばれます。
福男になると、認定証とえびす神の像がもらえるんです。
さらに、記念のはっぴ(お祭りで着る特別な服)や、ヱビスビールなんかももらえちゃいます。

特に1位と2位になった人は、なんと米俵1俵(約60キロ)ももらえるんです!
すごい重さですよね。お米好きな人にはたまらないプレゼントかも。

でも、福男になるのは大変なことでもあるんです。
1年間、西宮神社のいろんな行事に参加しなきゃいけないからね。
でも、きっと楽しい経験になるはずです。

それから、先着5000人には「開門神事参拝之証」というものがもらえます。
参加賞みたいなものですね。
走るのは大変だけど、記念になるものがもらえるのは嬉しいですよね。

開門神事の歴史

この開門神事、実はすごく長い歴史があるんです。
江戸時代から自然に始まったと言われています。
つまり、最初は特に決まりもなく、みんなが自然と走り始めたんでしょうね。

でも、明治時代になって電車など交通機関が発達してくると、もっとたくさんの人が参拝に来るようになりました。
中には、決められた時間を守らないで早く走り出す人も出てきちゃって…。

そこで、きちんとルールを決めることになったんです。
夜中の12時に神社の門を閉めて、朝6時にちゃんと開けるっていう決まりができました。
これで、みんなが公平に参加できるようになったんですね。

このように、古い伝統のあるお祭りでも、時代とともに少しずつルールを変えながら続いてきたんです。
昔からあるものを大切にしながら、新しい時代に合わせて変化していく。
そんなバランスが、長く愛される秘訣なのかもしれません。

まとめ

「十日えびす」は、単なるお祭りじゃないんです。
えびす神様の物語、西宮神社の歴史、そして開門神事という独特の行事。
これらが組み合わさって、多くの人を惹きつける魅力的な風物詩になっているんですね。

新年の始まりに、たくさんの人が集まって、えびす神様にお参りする。
そして、幸運を求めて全力で走る。
この光景は、日本の文化や伝統の面白さを教えてくれる、素敵な例だと思います。

もし機会があれば、実際に西宮神社に行ってみるのもいいかもしれません。
開門神事に参加するのは難しいかもしれないけど、お祭りの雰囲気を味わうだけでも、きっと楽しい経験になるはずです。

日本には、このような興味深い伝統行事がたくさんあります。
「十日えびす」を知ったことをきっかけに、他の伝統行事にも興味を持ってみるのはどうでしょうか。
きっと、日本の文化の奥深さや面白さを、もっと発見できるはずです。

最後までご覧いただきありがとうございました。

-兵庫