「日本一短い国道」という言葉を聞いたとき、あなたはどんな道路を想像しますか?
車で走れば数秒で通り過ぎてしまうような道路があると聞いたら、驚くかもしれません。
しかし、そんな驚くほど短い国道が実際に存在するのです。
兵庫県神戸市中央区にある国道174号は、全長わずか187.1メートル。
これは陸上競技場のトラック半周分よりも短い距離です。
でも、この小さな道路には、思いもよらない重要な役割と興味深い歴史が隠されています。
この記事では、日本一短い国道174号の秘密に迫ります。
なぜこんなに短い道路が国道として指定されているのか、どのような役割を果たしているのか、そしてこの道路から私たちが学べることは何か。
神戸港のそばを走るこの不思議な道路の物語を、一緒に紐解いていきましょう。
日本一短い国道174号の概要
日本一短い国道の場所と長さ
日本一短い国道は、兵庫県神戸市中央区にある国道174号です。
この道路は、わずか187.1メートルしかありません。
これは、陸上競技場のトラック半周分よりも短い距離です。
「日本で一番短い国道です」という標識について
国道174号の両端には、「日本で一番短い国道です」という看板が立っています。
この道路は本当に短いので、車で走ると数秒で通り過ぎてしまうほどです。
でも、この短い道路には、とても重要な役割があるのです。
国道174号の重要性
神戸港と国道2号をつなぐ役割
なぜこの道路が重要なのでしょうか?
それは、神戸港と国道2号という二つの大切な場所をつなぐ架け橋のような役割をしているからです。
国道174号の始まり(起点)は、多くの船が出入りする神戸港のそばにある神戸税関本庁の前です。
そして、終わり(終点)は、西日本の交通の大動脈である国道2号につながっています。
神戸市の交通網における位置づけ
この道路は、神戸市の交通網の中で重要な位置を占めています。
神戸港は、たくさんの貨物船や客船が行き来する日本の主要な港の一つです。
一方、国道2号は大阪から福岡まで続く長い道路で、西日本の車の交通にとってとても大切な存在です。
国道174号は、この二つの重要な場所をつなぐ短いけれども、大切な道路なのです。
国道174号の特徴と構造
国道174号の特徴をもう少し詳しく見てみましょう。
複雑な道路構造(高架橋、スーパーハイウェイ)
この道路は短いですが、とても複雑な構造になっています。
道路の上には、阪神高速神戸線と追手バイパスという二つの高架橋が走っています。
また、港湾幹線道路のスーパーハイウェイも横切っています。
これらの道路が上を走っているので、国道174号の上を見上げると、まるで道路が何層にも重なっているように見えるでしょう。
車線数の変化と信号の位置
道路の幅も変化に富んでいます。
神戸税関本庁の前から最初の交差点までは、片側2車線と3車線で合わせて5車線です。
しかし、その先は驚くほど広くなり、片側5車線と6車線で合わせて11車線にもなります。
これは、国道2号に直接つながる車線だけでなく、阪神高速道路に乗るための車線も必要だからです。
周辺環境の特徴
信号は、この短い道路の中に2カ所だけあります。
一つは税関本庁前の交差点、もう一つは国道2号につながる税関前交差点です。面白いことに、この道路の周りには大きな港湾施設や運輸関係の事務所、展示場などがありますが、住宅や商店はほとんどありません。
そのため、歩行者はあまり見かけません。
国道174号の歴史と変遷
市道から国道への格上げ
実は、国道174号にはちょっとした秘密があります。最初からこんなに短い道路だったわけではないのです。元々は神戸市が管理する市道として作られました。しかし、神戸港と国道2号をつなぐ重要な道路だということで、1952年(昭和27年)に国道に格上げされました。その時の長さは940メートルもありました。今の5倍以上の長さだったのです。
国道2号の移動による短縮
では、なぜこんなに短くなってしまったのでしょうか?それは、1962年(昭和37年)に国道2号の位置が変わったからです。国道2号が神戸港の方に750メートルほど移動したため、国道174号も現在の長さまで縮んでしまったのです。
かつての国道174号(現在のフラワーロード)
今の国道174号の先には、三宮に向かうフラワーロードという道路があります。これは正式には県道30号と呼ばれています。実はこのフラワーロードの一部が、昔の国道174号だったのです。国道2号が移動する前は、今のフラワーロードまで国道174号として続いていたわけです。
神戸港の第三突堤に
国道174号の起点である神戸税関前をさらに進むと、神戸港の第三突堤があります。
そこからはそのまま新港フェリー乗り場へと続いています。
つまり、港の埠頭(船が停泊する場所)への直接のルートになっているのです。
最後に
ちなみに、日本で2番目に短い国道は山口県にある国道189号です。
これは岩国空港と国道2号を結ぶ道路で、全長は372メートルです。
国道174号は、この2番目に短い国道の半分ほどの長さしかないのです。
国道174号の存在は、都市計画や交通網の変化によって生まれた面白い例と言えるでしょう。最初は普通の長さだった道路が、周囲の環境の変化によって驚くほど短くなってしまったのです。しかし、その短さにもかかわらず、依然として重要な役割を果たし続けています。
国道174号を訪れる機会があれば、その短さを実際に体験してみるのも面白いかもしれません。ほんの数秒で通り過ぎてしまう道路ですが、その上を走る高架橋や、周囲の港の風景など、見どころはたくさんあります。
最後までご覧いただきありがとうございました。